昨年11月に8年生の出前授業を行った高島第一中学校に、今回は卒業式を間近に控えた9年生の皆さんへ出前授業に伺いました。
皆さん落ち着いて授業を受けていただき、受け答えも最上級生と感じさせる成長を見ることが出来ました。各クラス、授業の最後には学級代表の生徒からお礼の挨拶をいただきました。
校長先生、担任の先生方、卒業式前の行事が多い中、ご協力をいただきありがとうございました。
板橋区立高島第一中学校での授業の様子
1組の様子

今回のテーマは「働いて得られること」でした。8年生での職場体験を思い出してもらいながら、グループワークに取り組んでもらいました。働くルールについては公民の時間で学んでいるので、さすが9年生、的確な回答が並びました。
8年生の授業よりも、労働条件通知書の内容などを具体的に伝えましたが、卒業後の新生活でアルバイトをしたいと思っている生徒も多く、特に集中して聞いてもらえたように思います。

グループディスカッションでは、「働くことで得られるもの」について、警察や消防、スーパーなどでの職業体験を振り返りながら、お金以外の価値を真剣に考えていました。また、賃金の差については、地域やロケーションによる賃料の違い、スキルや仕事内容の大変さなど、多角的な視点から意見を出し合い、東京の最低賃金と他の地域との違いに驚く場面もありました。
加えて「より多くの賃金を得るためには」というテーマでは、長時間労働や深夜労働の必要性、勉強との両立の大変さ、どんなアルバイトをしたいかといった率直な意見が飛び交いました。
クラス全体の印象としては、大人しい雰囲気ではありつつも、グループディスカッションでは活発に話し合いが進み、外見はクールながらも内面は温かい、意欲的な姿勢が感じられるクラスでした。
2組の様子

「働くことで得られるものは?」という問いに対し、お金以外にも経験・技術・人間関係・信用・社会的地位・常識・マナーなど、さまざまな意見が挙がり、生徒たちの自由で豊かな発想力に講師も感心させられました。
また、「働く時に事前に知っておきたいことは?」というグループディスカッションでは、「かわいい子やイケメンがいるか?」といったユニークな意見も飛び出し、和やかな雰囲気の中で議論が進みました。
一方で、深夜労働(午後22時~翌朝5時)の割増賃金の話には多くの生徒が身を乗り出して聞き、東京と埼玉で時給に差があることを知ると、驚きの表情を見せていました。講師からは、時給の違いは物価など生活費の差によるものであり、単に「東京が上」というわけではないとの説明があり、生徒たちは納得した様子でした。

闇バイトに対する関心も高く、「どのようなものか」「加担しないためにはどうすべきか」について真剣にディスカッションが行われ、危険性への理解を深めました。こうした議論を通じて、生徒たちが単にお金を得ることだけでなく、人間関係や知識、経験、自信といった多角的な視点を持っていることがうかがえ、大変印象的でした。
3組の様子

グループワークが多い中でも、生徒たちはそれぞれの質問に真摯に向き合い、意見交換を重ねる姿が印象的で、とても誠実な様子がうかがえました。

特に闇バイトに対する関心は高く、アルバイトをするうえでのリスクに対しても真剣に考えている姿勢が見られました。全体としてクラスの雰囲気は穏やかでありながらも、積極的に議論に取り組む姿勢が感じられる有意義な時間となりました。
授業後のアンケート
授業の内容はわかりましたか?

97%の方から「わかった」と回答をいただきました。
授業を受けて働くことに対する興味は高まりましたか?

95.5%の方が、授業後に「働くことに興味が高まった」と回答をいただきました。
興味を持った話、もっと聞きたかった話は何ですか?

1位:最低賃金
2位:時給に差がつく理由は何か
3位:闇バイトに注意しましょう
印象に残っていること、感想や意見など
- 高校生に上がり、労働との関わりが高まる中で今日の授業を聞いて何を視野に入れて仕事を選ぶのか理解することができた
- 高校生からバイトをしたいと思っていたので、賃金とか、労働基本法とか、労働時間とか内容をよくしれて良かったと思いました
- 労働について自分の知らない制度や契約があることを知れたので、嬉しかったです。労働する際に労働条件や闇バイトでないことなどを自分で判断できるようにしたいです
- これから高校生になってバイトもできるようになるので、働く前にはいろいろなことを考えたり闇バイトにも気をつけないといけないことがわかった
- 闇バイトに気をつけてアルバイトを見つけていきたいと思いました
- 働くことで得られるものがお金しか浮かばなかったので、みんなの意見をディスカッションによって知ることができてよかったです
- アルバイトなどをする際には労働条件や時給などをしっかり調べようと思いました
- 働くことで得られるものはお金!というのを思っていたけど、この授業で働くことは人生に欠かせないものを得られると感じました
- 闇バイトの見分け方を知ったので、高校生になったら、時給の程よいところでアルバイトをしたいなと思いました。楽しかったです!
- 最低賃金が都道府県によってちがうのが驚きでした
- 労働者の義務について考えたことがなかったので、今日労働者の義務について考える機会ができてより仕事(アルバイト)について考えを深めることができました
まとめ
高校への進学も間近に控えた9年生、アルバイトをしようと考えている生徒さんもいて、とても興味をもって聞いてもらいました。今回新たに闇バイトをテキストに追加しましたが最近の話題でもあり高い関心を寄せていました。授業で聞いたことが少しでも知識として残り、新生活を楽しんで送れるようにと講師一同、皆さんを応援しています。
東京都社会保険労務士会板橋支部では、子どもたちが社会で自立し生きていく上で必要な知識とルールを早期に身につけ、自分を守り、働くことで社会に貢献する意義を学んでもらうことを目的に学校教育活動を実施しております。
社会保険労務士の専門的な視点から、わかりやすく、また生徒とコミュニケーションを取りながらお話しいたします。興味のある板橋区の学校関係者様は、下記の連絡先までお気軽にお問合せください。
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