0040 私の「人生、最後に残る趣味」

今年(令和7年)は、巳年。何度目かの年男となる私の、この1年を楽しくしてくれる趣味の話をします。

昨年のある日、立ち寄った書店で、作家・国文学者 林望氏の著書「結局、人生最後に残る趣味は何か」という本が目に留まりました。タイトルに惹かれて購入し、一気に読んでしまいました。趣味をやるなら大真面目に本気で取り組むべきだ、それが思いもかけない自己実現につながる、との著者の言葉が、私にとっての「結局、人生最後に残る趣味は何か」を考えるきっかけとなりました。

私にとっての「人生最後に残る趣味」は、「ピアノ」です。

小さい頃から絵画や音楽に触れることが多い環境にいた私は、3歳のころピアノを習い始めました。小学校ではクラスでの演奏用に「ロッキーのテーマ」を編曲したり、中学では合唱部を作り、NHKの音楽コンクールに出場してNHKホールでピアノを弾いたりしたこともあります。しかし、音楽の道に進むほどの才能も情熱もなく、普通に進学し、社会人になってからは、時々思い立っては、数ケ月ピアノのレッスンに通い、お決まりの「怖いピアノの先生」に厳しく指導され、発表会の本番でもミスして嫌になり止めてしまう、の繰り返しでした。

それでも凝りないもので、また無性にピアノが弾きたくなり、昨年、「大真面目に取り組む趣味」とする気概で、再びレッスンを開始。素敵な先生にもめぐり逢えました。念のため、私は先生が怖いと続きません!と正直に伝えました。先生は笑って理解を示してくれましたが、今年3月の発表会が近づくにつれ、だんだん怖くなってきています(冗談です)。

今、取り組んでいるのは、F・ショパンの「ポロネーズ第4番」(注:ポロネーズは、ポーランドの民族舞踊)。ショパンが、恋人ジョルジュ・サンドやその子供たちとともにスペインのマルタ島に住んでいた1839年(29歳)ごろ、祖国ポーランドの没落を憂いて作曲したともいわれる、全体的に重々しい、演奏時間約6分~8分の曲です。

私にとって、ピアノで曲(特にクラシック)を弾く醍醐味は、「作曲家との対話」をしている気持ちになれることです。200年以上も前にポーランドで生まれ、わずか39年の短い人生を終えたショパン。29歳の彼が、マルタ島に建つ家のピアノが置かれた部屋で、祖国を思い、慎重に吟味を重ねて書き記したその楽譜を読んで、実際に弾いてみるという体験が、私に、時を超えてショパンと対話しているかのような感覚を呼び起こしてくれます。

曲を弾くには、楽譜に記された作曲家の意図を解釈する必要があります。ショパンと実際に会話するのは、むろん不可能ですから、伝記や時代背景、楽譜の記載、ピアニストの演奏等を参考に、自分なりの理解に到達するのが精一杯ですが、ショパンが我々に伝えたかったメッセージは何なのかを探っていくのは、ワクワクする時間です。

しかし、ピアノの世界は本当に奥が深く、私のような素人は、プロの演奏家の足元にも及びません。数々の完成度の高い曲の楽譜を読んだり、その演奏を聴いたりすると、作曲家や演奏家の卓越した技術、研ぎ澄まされた感性、使命感、自己表現への強い情熱等を感じます。曲を適確に演奏するには、豊かな感性や高い技術を要しますから、それはもう至難の業です。それでもなお、素人の私が人前で演奏しようというのも恐れ多いわけですが、発表会は、素人による、各自の人生を豊かにする自己表現の場ということで、楽しんで演奏し成果を披露するのが一番と考え、日々練習しています。

今回、コラムを書かせていただくことで、日々の過ごし方を振り返り、社会のため、そして自分のために、仕事でも趣味でも努力を怠ることなく、よりクオリティの高い人生を送りたいと、思いを新たにしました。

みなさまも、ご自身にとっての「結局、人生最後に残る趣味は何か」を、考えてみませんか。

社会保険労務士法人クリエイト   (板橋区板橋1-49-6-809)
代表 社会保険労務士・MBA 近藤 英明
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